タイでオモロイ坊主になってもうた

タイでオモロイ坊主になってもうた

タイでオモロイ坊主になってもうた

本書は、藤川チンナワンソ清弘氏による、自伝です。
著者のチンナワンソ氏は、タイのテーラワーダ仏教で出家し比丘となり、現在は日本でテーラワーダ仏教の伝道に活躍されております。
お坊さんの自伝、と聞くとなにやら説教臭い、取り澄ましたもののように思われるかもしれませんが、本書はそんなことはありません。
チンナワンソ氏が少年時代不良だったこと、壮年期には地上げ屋として活躍したことなど、赤裸々な告白に満ちています。


そんなチンナワンソ氏にも転機が訪れ、仏道に関心を持つようになります。
「2500年も前にドエライオッサンがいたもんだ。よっし、このオッサンをわしの親分にしよう。俺は、このオッサンの弟子になろう」
(本書 p.193 より)
そして、約半年間の出家生活後、還俗するも、どうしても仏道の世界に戻りたいという気持ちが強くなり、改めて出家します。
「あの素晴らしい男、素晴らしい生き方を教えてくれるブッダの許へ帰りたい」
「あのムクダハンで逢った、老比丘のような、そばにいるだけでなんとも言えず心の安らぐ比丘達に囲まれて、残された人生を過ごしていきたい」
(本書 p.219 より)


ここには、気取った言葉など一切無く、紆余曲折を経て、自然な流れで仏門に入っていく一人の男性の生き様が描かれています。
仏道など自分には無縁、と思っている方に、このような世界もあるのだと知ってもらうのにおすすめの1冊です。