The Heart of Understanding

The Heart of Understanding: Commentaries on the Prajnaparamita Heart Sutra

The Heart of Understanding: Commentaries on the Prajnaparamita Heart Sutra

本書は、ヴェトナム出身の禅僧、ティク・ナット・ハンによる般若心経の解説書です。


著者のティク・ナット・ハンは、ダライ・ラマと並び世界的に有名な仏教者です。
マーティン・ルーサー・キング牧師の推薦により、ノーベル平和賞の候補にノミネートされたこともあります。
日本ではダライ・ラマに比べ知名度が低いですが、今後よりいっそう注目されていくのではないかと思います。


本書で、師は語ります
「もし、あなたが詩人なら、この1枚の紙の中に雲が浮かんでいることを見つけるでしょう。
もし、雲が無ければ、雨は降りません。
もし、雨が降らなければ、木々は育つことができません。
もし、木々が無ければ、私たちは紙を作ることができません。
雲は、紙がこの世界に存在するために欠かせないものです。
もし、ここに雲がなければ、この1枚の紙もまた、ここにあることができません。
ですから、私たちはこの雲と、この1枚の紙は「共にある」存在であると言うことができるでしょう」
(本書 p.3 より)


現在、般若心経の解説書はそれこそ山のように刊行されています。
その中で本書は、約50ページの薄い本ながら語り口は明晰かつ簡潔で、神秘的なところなどまったくありません。
あくまでも般若心経によって語られる智慧の本質に限定して、解説が進められていきます。
邦訳もありますが、英語版の文章も極めて平易で、高校生程度の英語がマスターできていれば、無理なく読みこなすことができると思います。


般若心経に関心のあるかたに、おすすめの1冊です。