季節はずれのキリギリス

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季節はずれのキリギリス

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作者で現代美術作家の松井 美文氏から献本していただきました。


顔中包帯で覆われた、キリギリスという名の謎の男が主人公の漫画です。


主人公の男は「蟻とキリギリス」の話のキリギリスのように何らかの報い(?)のために不幸を享受しているようにも見えますが、通り一遍の解釈を許さない奥深さが感じられます。


作家の椎名誠氏は本作を評して、

読んだあと奇妙な味の純文学短編小説を読んだようで、感動的である。
つげ義春をはじめとするかつての「ガロ」文化圏の暗さはなくて、とにかくヘンテコな面白さがあるのだ。
この作者は何者なのだろう。

と『本の雑誌』で語っています。


私がこの本を読んでいて連想したのは、コーエン兄弟による『バートン・フィンク』という映画です。


この映画も「自分が立っているのはどの場所か?」ということが観ているうちに混乱してくる不思議な味わいをもった作品です。