大アジア思想活劇

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

大アジア思想活劇―仏教が結んだ、もうひとつの近代史

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私たちが、日々学び、また物語として楽しむこともある「歴史」。


とても馴染み深いものですが、一口に歴史と言っても様々なものがあります。


権力者や国家によって語られることが多い「正史」に対し、公認されていない民間の歴史を指して「稗史」といいます。


本書では、日本の近代史の中で、国家や権威ある学問的機関、宗教組織などによって語られることの少なかった異能の人々が縦横無尽に活躍します。


平井金三、野口復堂、釈興然といった正史ではメジャーではない人々たちの活躍するさまは、さながら物語のようでもあり、読者は「明治時代には、こんなにも自由に人生を謳歌した日本人がおったんか!」と驚くことうけあいです。


ワーキングプア、過労死、パワハラをはじめとした職場いじめなどで、疲弊しきった日本のビジネスマンは何はなくとも本書を紐解くべきでしょう。


そこには、うつむきがちで暗い現代人と異なる、破天荒な人間の生き様があります。


本書は、彼ら素晴らしい明治人の活躍に留まらず、近代スリランカ仏教を語る上で欠かせない人物アナガーリカ・ダルマパーラに焦点をあてます。


百年前にスリランカから海をはるばる渡って来日したダルマパーラの目に映ったものは何だったのか。


ぜひ、本書を読んでお確かめください。


稗史」の傑作といえる本書、スリランカ仏教を学ぶかたには特にお勧めの1冊といえるでしょう。