煩悩フリーの働き方。

『沈黙入門』『偽善入門』が好評のお坊様、小池龍之介師の新刊です。

今回のテーマは現代社会で「働く」ということ。

世界的な経済不安の現在、タイムリーなテーマと言えるでしょう。

第１章では、それぞれの仕事の現場で具体的な悩みを抱えている人々に、質疑応答形式で問題解決の処方箋を与えています。

それらのアドバイスは、仏道の智慧に裏打ちされたものであり、今まであまり仏道の世界に馴染みの無かったであろう読者にとって、大変有益なものばかりです。

ただし、そのような個々の助言はある特定の文脈、シチュエーションを背景にしたものですから、私たちが自身の生活に応用する際にそのまま使うということは困難です。

そこで、第２章では、仏道の修習法である八正道について解説。

八正道に関しては、仏道ファンの皆さんは「もう知っているよ」という感じかもしれませんが、本書の解説は知識的な記述に留まらないわかりやすいもの。

これはやはり、小池師が情熱的な坐禅指導者であり、参禅者の抱える問題をよく熟知していることからくるものかと思います。

読めばきっと、心に残る言葉が見つかる本となっています。

一瞬でいいから　心のながれに　隙き間　あけること

という小池師の言葉が、印象に残りました。