一Q禅師のへそまがり“宗教”論

一Q禅師のへそまがり“宗教”論

一Q禅師のへそまがり“宗教”論

にほんブログ村 哲学ブログ 仏教へ


信じない人のための〈宗教〉講義」「信じない人のための「法華経」講座 (文春新書)」などで知られる、中村圭志氏の新刊です。


サイト管理人も、一部編集に参加させていただきました。


誰しも宗教に関わるときは、その距離感が難しいもの。


宗教は、それを信仰する人のフレームワークに深く関与するだけに、自分自身の思考のパターンに対する認識に困難を伴うのかもしれません。


スマナサーラ長老も、


的中する生き方―役立つ初期仏教法話〈10〉 (サンガ新書)

的中する生き方―役立つ初期仏教法話〈10〉 (サンガ新書)


の中で

多くの人が「宗教組織はありがたいものだ」と思っているかもしれませんが、宗教というのは、断言的に、純粋に「非道徳」な組織です。

(中略)

また、宗教は政治と一緒になって、社会にたいへんな迷惑をかけたりもします。
政治家と宗教が一緒になってしまうと、国民に対して平等な政治ができなくなります。

(本書 p.61より)

とおっしゃっています。


にもかかわらず、神政政治のような発想を抱いたり、特定の宗教を国教としようとする動きがあることは恐ろしいことです。


近年でも、タイで仏教を国教化しようという動きがありましたね。
http://www.newsclip.be/news/2007610_011849.html


このような発想に距離を置くためには、宗教という対象をメタな視点から見ることが有効です。


本書では、架空の一Q(いっきゅう)禅師と編集者との対談という体裁をとりながら、宗教というものが持つ思考のパターンをやさしく学ぶことができます。


気楽に寝転ぶような感覚で、一Q禅師の講話に耳を傾けるうちに、宗教というものが持つ奇妙さや危険さを理解できるに違いありません。


宗教に対する解毒剤という意味では、元世界日報記者で現在金沢大学教授である仲正昌樹博士の

〈宗教化〉する現代思想 (光文社新書)

〈宗教化〉する現代思想 (光文社新書)


に並ぶ好著と言えるのではないでしょうか。


ぜひご近所の図書館で手にとっていただければ幸いです。