希望のしくみ

希望のしくみ (宝島社新書)

希望のしくみ (宝島社新書)

テーラワーダ仏教の高僧、スマナサーラ長老と解剖学者の養老孟司氏との対談本です。
日ごろからテーラワーダ仏教は宗教ではなく、科学に近いと語られているスマナサーラ長老だけに、自然科学者である養老氏との対談もスムーズに展開していきます。
話題は現代日本の諸問題に対する処方箋を中心に進みますが、中でもとりわけ興味深いのは現代人のエゴイズムの強さについてのお話です。
スマナサーラ長老は、現代日本人の多くが、本来エゴイズムとしておこなっている行為の多くを、他者のためにおこなっていると勘違いしていることを指摘しています。
本来、他人に尽くすことは自分のためでもあるわけで、わざわざ「他者のため」に何かをしたと考えること自体妄想であるというわけです。
どうしても普段は「他者のため」に行動していると考えてしまいがちなので、このアドバイスは大変参考になりました。
他にもこのような有益なアドバイスが満載です。
テーラワーダ仏教にまったく関心のない方が、テーラワーダの発想に触れてみるのにおすすめの一冊です。