君あり、故に我あり-依存の宣言

君あり、故に我あり (講談社学術文庫)

君あり、故に我あり (講談社学術文庫)

著者のサティシュ・クマール氏はインド出身。
9歳のときにジャイナ教徒として出家します。
必死に修行に励みますが、ガンジー氏の運動に共感。
現在の世界に生きる人々の苦しみを軽減させるために生きたいと考え、還俗します。
そして、生きとし生ける人々の幸せを実現できる方法を探して、世界中を行脚します。
その途上出会った人々とのエピソードが、本書の中心をなしています。
その出会った人々の中には、クリシュナムルティバートランド・ラッセルマーチン・ルーサー・キングなどの有名な賢人たちも含まれます。
このような探求の果てに彼がたどりついた結論。
それは、インドの格言「ソーハム(彼は我なり)」を翻案した「君あり、故に我あり」という言葉に象徴されるような、関係性の哲学です。
自他の関係を一体性のもとに捉えるこのような思考法は、二分論的世界観が優勢を占める現代世界において、とても新鮮なものに映ります。
生命とはネットワークなのだ、ということをさまざまな角度から考えさせてくれる一冊です。