苦しみをなくすこと

苦しみをなくすこと―役立つ初期仏教法話〈3〉 (サンガ新書)

苦しみをなくすこと―役立つ初期仏教法話〈3〉 (サンガ新書)

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好評の、スマナサーラ長老によるサンガ新書、役立つ初期仏教法話シリーズの第3弾です。
このシリーズは廉価かつ、編集も丁寧で毎回新刊が刊行されるのが楽しみです。


今回のテーマは、ドゥッカ(苦)です。
人生には様々な嫌なことがあり、そのたびに私たちはドゥッカを感じることになります。
ある程度の我慢で受け入れられるぐらいのドゥッカでしたら、ときどき気晴らしでもすることによって、なんとかやり過ごせるかもしれません。
ですが、そんな気晴らしぐらいでは癒せないほどの精神的ダメージを受けたとき、人は宗教の世界に走ることがあります。


本書では、そのとき多くの宗教で語られる「永遠の天国」と、仏教で語られるニッバーナ(涅槃)がどう違うのかについて、議論が展開していきます。
といっても、仏教の考えとヒンドゥー教ジャイナ教の比較といったように話は具体的に進むので、難しくてわからなくなるということはありません。
さらに、第6章では、苦を捨てる道、無執着の道が説かれます。

誰でもわかることですが、「ゴミ」は捨てた方がいいでしょう?
苦の原因や病原も捨ててしまった方がいいでしょう?
それなのに、なぜ苦しみを捨てるのを嫌がるのでしょうか?
苦しみや病原を捨てるために、存在に対する執着を捨てなさいと言っているだけなのです。
(本書 p.196 より)

このように、非常に具体的な形で、ドゥッカをなくす方法が語られていきます。
新書という気軽に手に取れるかたちながら、極めて骨太な1冊と言えるでしょう。