ミャンマーで瞑想修行されるかたのために

Huma2007-07-14


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下記の文章は、仏教雑誌『パティパダー』2004年12月号(日本テーラワーダ仏教協会発行)に掲載されたものです。当時から時間がたち、記述されている内容にも異同があるかもしれません。ですが、現在でもミャンマー渡航され、瞑想修行をしようとされているかたのお役に少しでもたてる情報を含んでいるかもしれないと思い、ここに転載することにいたしました。多少でもご参考になれば幸いです。



今年の6月23日から、9月11日までミャンマーに行ってきました。
滞在中、以前からいってみたいと思っていたヤンゴンのマハーシ瞑想センターで瞑想修行をすることができました。
ウィセッタ長老やテーラワーダ仏教協会の仲間の皆様、またウ・ジャティラ長老をはじめ、ヤンゴンでの生活を支援してくださった多くのかたがたのおかげで、大きな問題もなく無事瞑想修行を終えることができました。
 

最近日本テーラワーダ仏教協会の会員の皆様のなかでも、ミャンマーへいって瞑想修行されるかたが増えてきているように思われます。
ですが、現在のミャンマーは軍事政権です。
そのため、現在の日本の環境に慣れきっている私たちには理解しがたいシステムも散見されます。
無用のトラブルを避けるためにも、今後ミャンマーへ行かれるかたのために、実用的な手続きなどの情報について、いくつか書き記してみたいと思います。
 

2004年10月現在、ミャンマーへの入国には目的に関わらずビザが必要です。
たとえ観光目的であってもビザを取得しなければなりません。
観光ビザでの滞在可能日数は入国日から28日間です。
もし瞑想したい期間が28日間以内でしたら、観光ビザを用いてミャンマーで瞑想修行することが可能です。
 

もし1ヶ月以上の期間ミャンマーで瞑想したければ、瞑想用のビザを取得する必要があります。
この瞑想用のビザを取得するためには、まずスポンサーシップ・レターを取得しなければなりません。
これは、ミャンマーで瞑想修行をする際に、自分にきちんと受け入れ先があること、また滞在に関して保証人がいることを証明するためのものです。
スポンサーシップ・レターを取得するには、まず自分がいってみたいと考えている瞑想センターに対してE-mail、または手紙などでそれを請求する必要があります。
細かい要件は各瞑想道場で異なると思われますが、マハーシ瞑想センターでは氏名、年齢、性別、国籍、そしていままでのヴィパッサナー瞑想の経験に関して記入する必要があります。
ミャンマーの郵便事情が非常に悪いためはっきりしたことは言えませんが、返事が来るまでに1ヶ月は最短でもかかると思われます。

さて無事にミャンマーからスポンサーシップ・レターが届いたら、それを持ってミャンマー大使館に向かいます。
そしてそれを申請書とともに提出してください。
ビザ発行のための費用は期間によって異なると思いますが、3ヶ月で4500円程度が目安です。
 

通常1ヶ月以上ミャンマーに滞在して瞑想する場合は、瞑想用のビザを取得してミャンマーへいくのが望ましいですが、行きたい時期までにどうしても必要書類がそろわない場合などで観光ビザから瞑想ビザに切り替える方法もあります。
この場合、自分の滞在する瞑想センターのオフィスに出向き、そこのスタッフにビザを切り替えてくれるように依頼する必要があります。
観光ビザから3ヶ月の瞑想ビザに切り替えるばあい、36ドルほど費用がかかります。
それ以上延長して滞在を希望する場合、3ヶ月の延長に対して36ドル。6ヶ月、1年の延長に対して90ドルほど費用がかかります。
また、3ヶ月以上ミャンマーに滞在する場合、必ず外国人登録をしなければいけません。
これには9ドルほどかかります。
ビザ延長のための書類ははじめに宗教省に提出されます。
その後に、さらにイミグレーションに書類がまわされることになりますから、ビザが発行されるまで大変長い時間がかかることになります。
また、しばしば観光ビザから瞑想ビザへの書き換えが許可されないこともあるようです。
ですから、やはり基本的には最初から瞑想ビザで入国したほうが無難であるといえるでしょう。
 

ビザに関する話は以上です。最後に、瞑想センターへの滞在で参考になるであろうことを2,3記してみたいと思います。
これは、各瞑想センターによって詳細は異なります。ここでは私が滞在していた、マハーシ瞑想センターでの事情について説明したいと思います。
 

まず、センターへの滞在費です。
センターの運営は基本的に信者の人々のお布施で成り立っています。
この点については日本のゴータミー精舎と同じです。
マハーシ瞑想センターでは現在登録料として5ドルが必要です。
また、現地で使用するテキストの費用としてさらに2ドルが必要です。
さらに、シャワー、トイレつきの個室での滞在を希望する場合、部屋のメンテナンス費用として50ドルお布施をする必要があります。
これは期間に関わらず同額ですので、1日の滞在でも1年の滞在でも費用は変わりません。
また、シャワーは水のシャワーのみで、温水のシャワーはありません。
シャワー、トイレが部屋にない個室の場合、50ドルお布施は必要ありません。
 

また、個室のドアには鍵がないものも含まれます。
そのため、日本から南京錠を持っていくと便利です。
瞑想センターには非常に多くの人々が出入りしています。
中にはテーラワーダ仏教徒ではない人々も含まれるので、しばしば盗難が発生します。
そのためドアには鍵をかけておいたほうが安全です。

以上、至らないところも多いかとは思いますが、今後ミャンマーで瞑想修行をされるかたへのアドバイスになれば幸いです。
なお、この文章を作成するにあたり、参考となる資料を提供してくださった、ミャンマー在住のウ・コーサラ比丘にここで改めて感謝いたします。